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2002.11.4 【インタビュー】
日本人選手海外組…それぞれの活躍と今後の課題
−Part1−
LADYWEB
で、三都主選手のことなんですけど。どうして帰ってきてしまったんでしょうか。
KOH先生
プレミアはご存じのとおり、過去2年間の国際Aマッチに75%以上出場していないと労働許可証がおりないとレギュレーションがあるんです。ただそれは別にmustではなくて、70%くらいあればいいようですよ、過去の例を見ても。で、三都主の場合は、獲得しようとしたチャールトンが、これは後で耳に入った話ですけど、申請を1年契約で申請したとか聞いているんですよ。でも、日本に伝わっているのは5年契約を提示されたとのことで、その辺りがちょっとよくわからないですよね。チャールトン自身が、5年契約で申請していれば労働許可証はおりただろうって言っているみたいで、どういう話をしていたのか、ちょっと代理人説明してくれっていう感じですよね。
LADYWEB
どうして、現地に行ってからそういうことになるんですか。
KOH先生
あのね、行く前から数字くらいわかるじゃないですか。で、もしかしたら1回断られたよって感じで、でもなんとかするからって感じで行ったと思うんですよ。チャールトンもなんかあっさりしてますよね。5年契約で申請したらおりただろうとか言うんなら、じゃ、5年契約で申請すればいいじゃんって思いますよね。でもそうしなかったところをみると、日本に伝わっている、いきなり完全移籍で5年契約っていう条件じゃなかったのかなという気もしますね。とにかく、事実がどうだったのか、ちょっとわからないですね。
まあ、Aマッチにあと2試合も出れば完全にクリアするんで、10月のジャマイカ戦と、11月のアルゼンチン戦に出れば、今度はOKなんじゃないですか。次の移籍可能時期である1月に、またチャールトンが声をかけてくれるかですね。それはちょっとわからないですね、チャールトンの事情がありますからね。でも、また、チャールトンに限らず声かかりますよ。
LADYWEB
鈴木はどうしちゃったんでしょね。
KOH先生
早く点を取ってほしいですね。まあ、苦戦は予想されたんですけど、なんとか頑張って9月中には1点でも取ってほしいです。でないと、これまでヨーロッパのチームに移籍した日本人フォワード選手のように、クビになっちゃいますよ。西澤明訓はゴールなしだし、城彰二にしても2点は取りましたけど、1試合で2点取ったんですから他の試合では取ってないわけです。点を取った試合はたった1試合ということになっちゃいますよね。城は怪我のこともあったっていうけど、やっぱりゴールを取らないと、中盤の選手以上に苦しい。鈴木も早くゴール取らないと、来年のJリーグの開幕戦には、鹿島アントラーズにいることになるんじゃないかなと思ってしまいます。ぜひ頑張ってもらいたいですね。
LADYWEB
サンフレッチェ広島の阿波踊りの人も、移籍が決まりかけていたのに、結局日本にいますよね。
KOH先生
藤本主税ですね。彼は決まりかけていたはずなんですけど、オランダのNACというチームだと思うんですが、移籍金が払えなかったみたいです。完全移籍の話で進んでいたんですけど、そいうこともありますよね。
Jリーグの選手は総じて移籍金が高いんですよ。Jリーグの移籍金は、今の年俸に対して、年齢に応じて移籍係数を掛ける決まりになっています。もともと日本は物価が非常に高いこともありますけど、Jリーグが発足した時に、お金に物を言わせた特定チームによる選手の独占を避けるために、移籍係数を若い選手ほど高くしているんです。だから日本人選手を取ろうと思ったら、海外のクラブからみたら意外に高いはずです。
例えば、1998年にペルージャへ移籍した中田だって4億いくらだったし、2001年に移籍した小野もそれくらいか、もうちょっと高いくらいだったと思うんです。もちろん、中田はそれだけの価値のある選手だったと思いますが、それでも当時いきなりアジアの選手を4億とか5億で買うかっていったら、それは大冒険だったと思います。他の国の選手だったら、せいぜい2億とか3億くらいなんですよ。そういう意味では日本人選手は高いですよね。ましてや、中田の時には、その前に三浦知良がイタリアのジェノアへ行って、その時はレンタルで行ったんですが、その行きかたがよくなくて、チーム側が選手として欲しいというよりは、スポンサーが欲しかったんです。そこで、スポンサー付きで行ったんです。それではチームやサポーターのイメージがよくないんですよね。そんなこともあったもんですから、セリエAに最初に挑戦した日本人選手ということで、もちろん尊敬には値するんだけど、その後も日本人選手を獲得するとなったら、スポンサー目当てか、ジャパンマネー目当てかって、絶対言われるんです。中田とか、小野とか、それを払拭する活躍をしてくれたわけですけど、でもまだ中田にしても言われることもあるみたいです。
で、日本人選手を完全移籍で取るにはちょっとリスキーなんで、1999年の名波浩の時からかな、まず1年レンタルで、よかったら2年めから完全移籍にしましょうという、完全移籍オプション付きレンタルっていうのが、日本人選手獲得の際のスタンダードになりつつあるように思います。名波が先例をつくって、西澤も、城も、高原も、みんなそう。中村俊輔もそう、鈴木もそう、稲本もそう。完全移籍で移籍した選手は、中田の後、小野と川口能活だけです。 レンタルは、日本人選手側からしたら、安全というか、安心だと思うんですね。帰る場所があるから。最近は、日本人選手を獲得するクラグ側にとっても、どれくらい使えるかめどが立たないから最初はレンタルというのは都合がいいんだ、といっている日本のメディアもあるんですけど、クラブやチーム、サポーターにとってはレンタルで来た選手っていうのは「なんだ腰かけで来たのか」「所詮はお客さん」って見るところもあるでしょうね。できれば、帰る場所がない、完全移籍で行った方がいいと思います。ただ、それにしては移籍金が高すぎてリスキーなんで、日本人選手を獲得する際には、レンタルに対する意識が外国のクラブ側も変わってきているのかな、とは思いますけどね。
本来レンタルっていうのは、やっぱり実績がある選手に対して「助っ人」としてオファーされるものでしょう。例えば、優勝しそうだけどもうちょっと戦力が足らないから補強しようとか、ヴェルディがエジムンドを取ったみたいに、下に落っこちそうだから補強しようとか、急に、実績のある計算できる選手を獲得するのがレンタルであって、なんの実績もない選手をレンタルっていうのは、違うといえば違うんではないでしょうか、本来的には。
それから、日本人選手のレンタル移籍の場合、もしチームが2部に降格した場合にはJリーグの元のチームに戻るという契約になっていることもあるようです。それも甘くないかなあ、と感じます。別に2部でプレーしたっていいし、そこでもいいプレーをしていれば他のチームから引き合いが来ると思うんです。
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へ続く)
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