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2002.11.4 【インタビュー】
日本人選手海外組…それぞれの活躍と今後の課題
−Part1−
LADYWEB
その中村俊輔はどうですか?
KOH先生
中村俊輔に関しては、なかなか頑張っているとは思うんですが、今までは練習試合と、コパ・イタリアというカップ戦、それは公式試合ですけれども、そこでもゴールをあげたりしてなかなか活躍してますが、何しろまだセリエAのチームとはやってませんから。技術とか、トリッキーなプレーとか、フリーキックとかは十分通用すると思うんですよ。ただ、本番になると相手チームの寄せがすごく速いですからね。当たりも厳しいし。その中で、さあどうですかね。まあ彼はいろいろ考えて、工夫してやるタイプだから、なんとか対応してやっていくんじゃないかと期待していますけど。
先日のパレルモというチームとの試合の映像を少し見ました。パレルモはセリエBですが、昨シーズンはAだったんで、実質Aみたいな顔ぶれですよね。その試合でも、結構ドリブルとかで切れ込んでいこうとしていたようなんですが、ピッチ状態の問題もあるのかもしれないけど、ほとんど相手に取られてましたよね。そうなっちゃうんですよ、やっぱり速いし、厳しいし、予測されちゃうんで。そんな中で、俊輔がどういうふうに局面を打開していくのか、興味もあるし、期待もしています。
セリエAの開幕が2週間遅れたじゃないですか。その間にすっかり見られてしまいましたよね。だから、ちょっと不利になっちゃったかなと思います。俊輔としては遅れずに開幕したほうが得だったですよね。でも期待してます、どれだけ頑張ってくれるか。早くゴールを、1ゴールでいいから早くあげた方がいいですね。
それと重要なことは、レッジーナというチームの今シーズンの最大の目標が、セリエA残留だということです。レッジ−ナの試合自体をまだよく見たわけではありませんが、かなり苦しいシーズンになるだろうとは思います。正直言って降格候補と思います。そのようなチームの中で、俊輔がどんなプレーを見せてセリエA残留に貢献できるのか。俊輔を取り巻く状況はそういうレベルだということも、認識しておく必要があります。セリエAでは1年目の中田も同様でした。
俊輔は華奢は華奢ですけどね。で、身体能力はあるかないかっていったら、実はあるんだって反論する人がいるんですけど、それは持久力とか筋力はわりとあるみたいですよ。ただ、問題はフィジカルコンタクトですよね。2つめには寄せの速さとか、体の寄せ方とか、コースを切られちゃうといった巧さや判断とか読みとかが、セリエAでは全然日本と違いますからね。とくに、ヨーロッパでもイタリアは厳しいですから。
LADYWEB
それは経験である程度なんとかできるんですか。
KOH先生
そうです。慣れですよね。俊輔自身もそれは絶対感じているはずですよ。
オランダなんかは、寄せが少し緩いんですよ。だから日本人選手はいきなりイタリアとかに行くよりもオランダとかフランスに行く方がいいかなって思うんですけどね。そういう点でも、小野はいい選択をしたと思います。みんな、イタリアとかスペインとか、イングランドのプレミアリーグとかに行きたがるんですけど、中田とか小野クラスだったら、あるいは俊輔とかだったら、なんとかなるとは思うんですけど、そんなに焦らなくてもいいんじゃないのかなと思うんですよ。
LADYWEB
稲本潤一はどうですか?
KOH先生
ハットトリックはびっくりしましたね。インタートト・カップというのは、ヨーロッパのカップ戦ではありますけど、UEFAカップの出場権を争う大会なので、チャンピオンズリーグとかUEFAカップよりは随分格の落ちる大会です。でも、一応ヨーロッパのカップ戦で、相手はイタリアのボローニャですからね。しかもファイナルの2試合で4ゴール取ったんですから、それはすごいです。
プレミアリーグの試合も見ましたけど、まだちょっとね、遠慮しているのか、周りの選手も稲本には期待をしているようなんだけど、まだちょっと信頼を得ていないでしょうか。稲本自身もおっかなびっくりみたいな。それと、ポジショニングがまだまだかなあという印象です。段々良くなると思うんですが。
それから、稲本は本当は日本でいうボランチの選手なんだけど、攻撃力のあるボランチで、ワールドカップでも2点取ったように、後ろから上がって行って点を取るタイプです。逆にそれが強すぎて、ちょっと後ろが疎かになるっていうことがよくあるんですけど。そういう、もともと攻撃力のある選手ではあるんですが、フルハムではトップ下で使われてますよね。それを意外に思うサッカーファンも多いんですけど、フルハムの監督はティガナというフランス人なんですが、1980年代に、プラティニ、ジレスらとともにフランスサッカーの黄金時代を築いた中心選手です。で、私はティガナはよく見ていると思うんですよ。プレミアでボランチで稲本を使ったら、やっぱり危ないですよね、バランスが崩れて。まだ、稲本の戦術眼とかは、ボランチとしては、ちょっとまだ信頼できない。稲本は日本人選手としてみれば身体能力は強いんですけども、まだまだプレミアの中ではボールを失うことが多いかもしれないし。フルハムにはデービスというイングランドU-21の代表選手が選手がいるんですけどね、彼の方がずっと安心。私が見ていてもそう思う。だから、ボランチでは使わない。フルハムは中盤はトップ下を置いたダイヤモンド型、つまり菱形なんで、じゃ、サイドハーフで使うか、っていう感じでしょうか。だから、最初は右サイドハーフで使ってましたよね。すごくいい眼力だと感心しました。最近は、稲本ってシュートあんなに上手かったかと思うくらい攻撃力があるからトップ下で使って、それがまあまあ今のところ成功している形ですよね。ただ稲本からしたら、トップ下っていうイメージはあんまりないみたいで、稲本がトップ下に入っても、あんまりフォワードに近づかないんですよ。彼としては、ボランチのちょっと前くらいの意識なんじゃないかな。あるいは、ボランチでも前に積極的に行っていいボランチっていう意識かな、って感じですよね。まあ、監督がどう指示しているのかわからないですけど。
稲本が途中交替で入った時なんか、フルハム自体が結構点取りますよね。あれは、稲本があまりトップに割り込んで行かないので、逆に周囲の選手たちが稲本を追い越して行くから点が取れちゃうのかと思っちゃいました。フルハムには、フランスU-21の代表で将来を嘱望されているらしいマルブランクという選手がいて、その選手がだいたいレギュラーのトップ下のようです。マルブランクは昨シーズンもフルハムにいたんですが、この選手はやっぱりトップ下然としているわけです。で、替わって稲本が入りますよね、後半の20分くらいに。それで稲本があんまり前へ行かないもんだから、後ろがどんどん行くんですよ。それで点入るんじゃないのかなって思っちゃいます、相手を混乱させてね。どんどん槍のように後ろから押し上げがどんどん来て、今までと違ったパターンでくるから、それで点が入るんじゃないかと、密かに思っているんですけど。情けないぞとも思わないけど、とにかく早くプレミアでも点を取ってくれないかな、1点でいいからって思っていましたら、なんと2試合連続ゴールをやってくれましたね。チームも、マルブランクと稲本を競わせている感じでしたが、このところは稲本がトップ下で先発して、マルブランクは控えか、左サイドハーフに入ったりしていますよね。
稲本はまだまだ、もっともっとやれると思います。ゴールをあげた試合も見ましたけど、試合全体を通してはまだまだ存在感があったりなかったりする感じです。これからの成長とパフォーマンスが本当に楽しみです。
(
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へ続く)
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