2002.12.16 【インタビュー】
  スター選手ぞろいのレアル・マドリッドは、なぜ不調か?
 

LADYWEB ユニフォームにスポンサーのロゴがついてないですね。

KOH先生 はい、レアルはつけないですね。使命だと思っているんじゃないでしょうか、毎年1人は世界のトッププレイヤーを獲得するっていう(笑)。今シーズンの場合は、ロナウドの方からインテルを出たかったという噂もあるんですけど。
確かに1950年代からレアルはヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグで、その当時はチャンピオンズ・カップですが、5連覇したチームです。その後も一貫して世界のフットボールシーンにおける文字通りジャイアントであったわけです。20世紀を通じて最高のクラブという評価や自負も頷けるところです。

それから、スペインリーグっていうのは、言ってしまえば、レアルのあるマドリッドの方の地方とバルセロナの地方とで、民族が違うわけですよね。だから日本で考えられる、そうですね、例えばプロ野球の巨人と阪神みたいな、あんなもんじゃ全然なくって、もう全然違う国くらいの意識でお互いがぶつかっている。イタリアでも、ローマダービーとかありますが、そんなんでもなくて、レアル対バルセロナ自体がもう民族同士の戦争なんでしょうね。それは、たぶん我々にはずっとこれからも理解できないと思います。もう歴史的なものですから。だから、そこでの試合が選手も観客もいちばんモチベーション的に高いんでしょう。スペインはナショナルチーム、つまり代表チームは、なんかバラバラですよね。スペイン代表が国際大会であまりいい成績を残さないってよくいわれるんですけど、彼らはおそらく国内リーグがいちばん。国民の関心も。そういうのがあるかもしれません。

LADYWEB バルセロナで、FCバルセロナとレアルの試合がある時は、バルセロナ中のホテルがいっぱいになるほど、各地から人が来るらしいですよ。

KOH先生 お互いに、自分たちの民族の代表がレアルをやっつけるのを見に行くわけですよね。そういう国なんで。

LADYWEB FCバルセロナの会員は年間シートなんですけど、新しく会員になるのに10年くらい順番待ちだとか。それにスタジアムのいちばん安い席でも年間10万円くらいかかるらしいですよ。

KOH先生 バルセロナがあるカタルーニャ地方は元々はスペインとは別の国だったそうですし、カタルーニャ語もあるそうです。「カンプ・ノウ」ってカタルーニャ語で「新しいスタジアム」っていう意味らしいですよ。バルセロナの人々は自分たちのことをスペイン人とは言わないで、カタルーニャ人だと言うそうです。カタルーニャ地方の人たちにしてみれば、FCバルセロナが英雄であり、スペイン王国打倒のシンボルなんでしょう。歴史の重みを考えずに、そんなに軽く言ってはいけないのだと思いますが。

LADYWEB バルサファンなんですよ。LADYWEBは、青と赤のバルセロナカラーなので(笑)。

KOH先生 私がバルサを知ったのは、1974年のワールドカップの前の年にヨハン・クライフがバルサに行ったんですね、その頃からバルサのことが日本でも話題になるようになって。この74年のワールドカップで、クライフ率いるオランダは大センセーションを巻き起こすわけです。レアルはその前から、ディ・ステファノという伝説の選手がいましたし、フランツ・ベッケンバウアーらとともにドイツのスター選手だったギュンター・ネッツァがレアルに移籍したので知ってましたが。ディ・ステファノって、知らないでしょ(笑)。

LADYWEB 新聞の記事で、レアルの歴史に書いてありました。

KOH先生 私だってディステファノのプレーはほんのちょっと映像でしか見たことないですよ、1950年代のプレイヤーですから。で、そのディステファノの再来といわれたのが、今日のトータルフットボールの体現者ともいわれるクライフです。そのクライフがチャンピオンズ・カップを3連覇したアヤックスからバルセロナに行って、確か十数年ぶりにスペインリーグ優勝を果たして、その後監督にもなって90年代にはスペインリーグを4連覇しました。今では、バルセロナにクライフ国際大学というスポーツマネジメントを学ぶ学校を設立しています。
クライフはバルセロナの監督としてトヨタカップにも来ています。当時のバルセロナには、その後Jリーグの柏レイソルにも少しの期間所属していたストイチコフとかもいて、サンパウロFCに1-2で逆転負けちゃったんですけど。
クライフ監督の理論は、守ってカウンター、リアクションサッカーで勝つんじゃなくて、2点取られたら3点取って美しく勝利して見せる。そういうスペタクルなフットボールを目指したチームだったと聞きます。バルセロナというチームに相応しいポリシーだったのではないでしょうか。
そうそう、今でもクライフの名をとった「クライフターン」と呼ばれるフェイントを見せてくれる選手を見ると、私嬉しくなっちゃいます。

LADYWEB ありがとうございました。(了)

   
 

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