2002.11.4 【インタビュー】
  日本人選手海外組…それぞれの活躍と今後の課題
  −Part2−
 

LADYWEB 中田英寿のことを心配していましたが、どうですか。復調と伝えられているようですが。

KOH先生 ええ、今は非常にコンディションがいいみたいですね。最近のパルマの試合を見ていても、プレーに非常にキレもあります。ただ、私としては、まだまだ能力や持ち味を十分を発揮しているとは思いませんけど。
中田が現在所属しているパルマは、ブランデッリという監督の他に、1980年代から90年代のACミランの黄金時代を築いてイタリア代表の監督もした、テクニカルディレクターのアリゴ・サッキが居て、サッキは昨シーズン、パルマの状態が非常によくない時にやって来て、中田は不遇の時期を過ごしました。サッキが描くチームづくり、システムは、トップ下がないんです。昨シーズンの中田は、ボランチで起用されるようになってから試合にも出場するようになりました。
中田自身も、どこまで本気で発言したのかわかりませんが、トップ下が一番やりやすいといった発言があって、今シーズンもパルマはトップ下を置かない4-4-2システムで臨むことは明白だったので、パルマのやろうとしている戦術からして、大丈夫なんだろうかと心配していました。
中田は、ペルージャの時は素晴らしかったですよね。中田が居た頃のペルージャは、1トップで、中田がトップ下にいて、左右に前目のサイドハーフが居て、今の小野の居るフェイエノールトみたいな感じですよ。それで、速攻がズバズバ決まったんです。速攻をやらせたら、中田は今でもピカイチですけどね。中田はトップ下が一番得意だと思っているファンも多いのですが、ただ、少なくともイタリアでのプレーを見てきた中では、2トップの下のトップ下だと、ちょっとイマイチですね。ローマに居た時も、2トップがいて、トッティの代わりに中田が入った時にも、迷いがあるのか、FWや周囲が中田の描く動きをしてくれないのか、ちょっと詰まっちゃうのか、インスピレーションが浮かばないのかなって感じはありました。あくまで、イタリアのチームで2トップの下のトップ下をやった場合でのことです。あくまで、イタリアのサッカーの傾向と、イタリアのチームの戦術との兼ね合いです。
中田は中盤の深い位置であるボランチもできるといいますが、パルマでの昨シーズンも途中から3人並んだボランチの左で起用されるようになって再び試合に出場するようになったのですが、現在の中田がボランチに入った時のようなプレーだと、中田のせっかくの攻撃能力が生かせません。それと、中田は守備能力も高いというけれど、確かに守備意識も強いし、ボディコンタクトも強いし、巧みなボール奪取も度々見せてくれますけれども、対人守備や本当の守備局面が上手いかというと、中田の中にそういうDNAがあまり多くないみたいで、ボランチとして最終ラインの前での守備としてはちょっと中途半端になってしまうところがあるように思います。そこそこのレベルのチームが相手だと十分通用するかもしれないけれど、超A級のチーム相手では、かなり苦しい。それと、これは中田の長所でもあるのですが、非常にバランスを考えたプレーをしようとするので、本来は中田には攻撃的なボランチというか、期を見て攻め上がるプレーを期待されていると思うのに、バランスを考えるあまりか、それがあまり見られない感じがします。
ペルージャから移籍したローマの時は、ローマのカペッロ監督は、中田をトップ下ではなく、もっとスケールの大きなプレイメーカーとして期待して、ボランチというより、いわゆるチェントロカンピスタ、つまりレジスタ(監督)と言われる位置で起用する構想だったと聞きます。でも、途中で諦めてしまったように思うのです。だから、ローマでの2シーズンめは、あくまでトップ下としてトッティの控えで、トップ下に入っても切れ味鋭いパフォーマンスを見せられたとは言えないし、あのユベントス戦でトッティに替わって入って大活躍した時も、センターのトップ下の位置に居るのではなくて、左サイドに張っていて、そこから期を見てトップ下のスペースに入っていって、トップ下のスペースを使って、あの素晴らしいミドルシュートを叩き込んだ。
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