【和算】
江戸時代の日本では、中国から伝来した数学をもとに、我が国独自の数学が発展した。これを「和算」と言う。和算は、そろばんの計算法や、日常生活で使われるような身近な問題をおもに扱い、その解き方などが書かれた書は「和算書」と呼ばれた。
数学者たちは、和算書の中に解答を付けない課題問題を載せることもあった。その問題を解いた別の数学者が、自分の著書の中にその解答と新たな課題問題を掲載するということが繰り返され、多くの和算書が競って発行された。
こうして和算は急速に人々のあいだに広まったが、明治時代に入り、西洋から洋算が伝えられると、今度は洋算が次第に普及するようになった。
【算額】
江戸時代中期には、和算の問題を絵馬に書いて神社や寺院に奉納する風習が生まれた。この絵馬は「算額」と呼ばれ、現在も全国に約900枚ほどが残されている。数学の問題が解けたことを神仏に感謝し、いっそう勉学に励むことを祈願する意味で掲げたのがはじまりと言われている。
算額は普通、問題だけを書いて解答は付けずに奉納されるが、その問題に対する解答をまた算額に書いて奉納するということも行われるようになった。算額は、和算の発表の場として、その発達に大いに貢献したと言える。
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